フィナンシャルテクノロジーの優位性
- ・ 高い技術と知識をもった個性的な先輩が豊富
- ・ 困難な局面にあっても、ポジティブに考える人が多い
- ・ 働き方、仕事のやり方の変革に積極的に取り組んでいる
課題
20年の技術ギャップを乗り越えてのマイグレーション。
入社7年目でチームリーダーに抜擢
国民や企業が納める税や社会保険料は、全国の金融機関や役所から中央銀行に集められ、国庫に収納される。年間50兆円に上る、この歳入金を扱うのが国庫歳入金システムで、国の財政において重要な役割を担うシステムのひとつだ。
「初期構築から約20年経っているレガシーシステムで、全国の金融機関や官庁とつながって複雑な業務フローを処理するので、維持・運用コストが非常に高くなっていました。これを新しい技術で再構築する、それが本プロジェクトのミッションです」
今の技術なら、やりたいことが簡単に実現できると思われがちだが、実はそうはいかない。このシステムは、全国から集められた納付書をOCRで読み取り、会計別、官庁別に集計して納付証明書を出力し、各官庁へ報告するといった非常にアナログな手続きを担っている。古いシステムの機能、品質を20年以上の技術ギャップがある新たなアーキテクト、言語、DBで実現するのは実際のところ、とてつもなく難しい。チームリーダーに抜擢されたO.Yは頭を抱えた。
取り組み
まったく未経験のアーキテクトと言語に挑戦。
“ゼロからの始まりなら、
後は伸びるしかない”と自分を奮い立たせた
「6年以上、このレガシーシステムに関わって愛着も感じていました。これまでの業務ではつねに“安定”が最優先で、“挑戦”の要素はほとんどなかったですが、今回のマイグレーションはすべてが未知なる挑戦です。新技術についてもまったく知識がなかったので、“ゼロからの始まりなら、後は伸びるしかない”とポジティブなマインドセットで自分を奮い立たせました」。
O.Yは、プロジェクトの課題をくまなく洗い出した。技術面ではO.Y自身が社内とNTTデータグループの有識者を頼り、新技術の知見を積極的に吸収していった。体制面、コスト面の課題解決には、地方ベンダーとのニアショア開発、若手中心のメンバー編成を行った。さらに、お客様を含め、各階層で定期ミーティングを設け、すべての関係者が同じ方向を向けるよう、連携強化を図っていった。
「旧システムを知っているのは私だけという中、作業平準化や試験の効率化も図ったため、お客様の協力は不可欠でした。3年間の開発で深い絆ができました」
結果
技術の進化は速い、中央銀行システム担当として
“安定”を最優先しながらも、つねに次の“挑戦”に備える
国庫に関わるシステムだけに、官庁、地方自治体、金融機関も本プロジェクトの直接的な関係者であることから、O.Yはさまざまな立場の人と打ち合わせや折衝を繰り返した。
「優秀な人が多く、相手が自分より二手三手、先を見て話しているなと感じる場面を多く経験しました。最初はプレッシャーでしたが、絶対についていこうと頑張ったことで、結果的にだいぶ成長したと思います」。2019年10月、いくつもの試練を越えて新たな国庫歳入金システムがリリース。その後も安定稼働を続けており、O.Yたちが技術ギャップを克服し、高い品質を実現したことが証明された。
「クラウドやブロックチェーンなど、金融業界でもさまざまな技術の導入が進んでいるので、今回、構築したシステムも、10年後にはレガシーと言われているかもしれません。中央銀行システム担当として“安定”を最優先しながらも、つねに次の“挑戦”の準備をしていなければと今回のプロジェクトで強く感じました」。