フィナンシャルテクノロジーの優位性
- ・ 金融分野の大規模システム開発を中心に35年以上の実績
- ・ 業界を牽引する高い技術力とナレッジの蓄積
- ・ 蓄積した技術資産を伝承しながら、新技術への挑戦、進化する組織
15年間、触ってきたメインフレームへの深い愛着
メインフレームとは、ホストコンピュータ、汎用機とも呼ばれ、商用コンピュータとして広く利用された最初の技術だ。国内でも1970年代から急速に導入が進んだが、1990年代になってWindowsやUNIXなどオープン系システムが台頭してくると、メインフレームは過去のものとされるようになる。しかし、処理能力や安定性、セキュリティ性などいくつかの特性がオープン系に勝り、現在でも、大企業の基幹業務や大学の研究室などで使われ続けている。入社から15年メインフレームの有識者としてキャリアを歩んできたT.Kはそのトラディショナルなシステムに深い愛着がある。
「国内で稼働するメインフレームの多くが30、40年動いているレガシーシステムです。最近はオープン系やクラウド系が主流なので古臭いイメージはありますが、長い稼働の中で課題や不具合が解消されてきていますから安定性は非常に高く、セキュリティの面でも格段に優れています。例えば、5,000万件の契約データから該当する1件を選び出すのはメインフレームが圧倒的に速く実施できます。新旧というよりも、役割によって選択すべきだと私は思います。デバイスの画面などのお客様の目に触れる部分はオープン系でどんどん使いやすく進化させ、バックヤードの大量処理はメインフレームでしっかり固めるのが理想です」
ウォーターフォール型開発は今も進化を続けている
もうひとつ、メインフレームのデメリットとして議論されるのがウォーターフォール型開発だ。要件定義、設計、プログラム組成、走行テストという一連の流れで開発を行うメインフレームでは、一度進んだプロセスを後戻りできない仕組みになっている。
「それも今ではかなり工夫され、改善されています。我々も、お客様も、過去の失敗から学んでいるので、途中で変更が入りやすいポイントを事前に抽出し、すり合わせを行うなど工夫をしています。つまり、開発プロセスも、課題を取り除いて進化させ、格段に効率が良くなっています」
ウォーターフォール型の課題を解決する手法として近年注目されているのがアジャイル型だ。要件を予めすべて固めずに、ユニットごとに機能を開発してつなげていく手法で、開発期間の大幅な短縮ができる。
「米国Y社ではすでに5,000人規模のアジャイル開発のPJがあり、小さいユニットに分かれてあっという間にシステムを作っているそうです。逆に、D社では、コンセプトをしっかり決めて細部に落とし込みたいと、ウォーターフォール型の製品開発を選んでいます。日本の企業の場合も、開発の各段階で組織の承認を受ける手続きがあり、システムの最終形が見えないアジャイル開発では承認を受けづらい場合もある。二つの手法、それぞれの良さがあると思います」
人がつくった、人のためのシステムだから人間臭い
T.Kが現在、取り組んでいるのが生命保険会社の「新契約事務システム開発」だ。膨大な契約情報を管理するシステムで、新商品のリリース、法規制や料率の変更対応など、年間でいくつも開発PJが同時進行で動く。このシステムを作ってきたベテランの技術者たちが次々、リタイヤしていく中、開発リーダーのT.Kは、技術の後継者を育成しながら、着実にPJを回していかなければならない。
「システムとは、事務処理などそもそも人が手を動かしてやっていたことを置き換えているので、非常に人間臭いものなのです。人がつくった、人のためのシステム、だから人間臭い。例えば、プログラムに一見、余分に見えるプロセスが書かれていることがあります。これは、それをなくしてしまうと後から見た人が理解しにくくなる、つまり、システム上は必要ないが人間が理解するために必要なプロセスだから残しているケースもあるのです」
一見余分なプロセスが、数年後にこのシステムに触れる誰かにとってのヒントになる。プログラムには先人が残した、たくさんのヒントが埋め込まれているという。
「一つひとつのプログラムには個性があり、その人の流儀のようなものが表われていて、先達が残したプログラムから学べることはたくさんあります。社内にもスーパープログラマーとも呼べる先輩がいて、彼と一緒に仕事をしていると自分がまだまだ二流、三流に思えます。私にはまだ同じレベルの開発力はありませんが、一つの目標としてメンテナンスしやすい、見て分かりやすいものを作ろうと思っています。システムは一人では作れません。いろいろな人間の個性が集まってひとつのシステムが作られていくのです」
テクノロジーを長いスパンで捉えて進化させ、
社会を支えていく
フィナンシャルテクノロジーは、世界的な不況や大規模災害があった時期も、採用数を減らすことなく、安定した採用を行っている。それは、人財がコンスタントに育たなければ技術を途絶えさせることになる、そのことが景気の変動以上に経営上のリスクになると認識しているからだという。
「以前、某大手鉄鋼メーカーの社長が、基幹産業である製鉄技術を継承し、進化させていくことの責任について語っていました。それを見て、心から共感しました。古いものを新しいものに置き換えていくのではなく、長い歴史のスパンで技術を捉え、古い技術を継承しながら新しい技術へと進化させていく、技術の連鎖を大切にしている、という内容でした。私たちの扱うシステムにも、人から人へ受け継がれてきた技術が刻まれています。こういう技術の連鎖が、いつか世の中を変革するきっかけになるのだと思います」
フィナンシャルテクノロジーに受け継がれている技術やナレッジは日本のIT化の歴史そのものであり、そこには社会を変えるイノベーションの種がたくさん含まれている。その種を育て、開花させるのは、T.Kのような技術者たちなのかもしれない。