フィナンシャルテクノロジーの優位性
- ・ 社会的に重要なフィナンシャル関連システムを扱う
- ・ 銀行・証券・クレジット、他分野でさまざまなノウハウを持つ
- ・ 安定性を確保しつつ、新たな技術や開発手法にも挑戦
課題
求められる非対面決済のセキュリティ、
加盟店が簡単に高度な技術を導入できるサービスを生み出す。
クレジットカード決済は、利用者が加盟店でカードを使うとクレジットカード会社が支払いを代行し、後日利用者に代金を請求するしくみとなっている。各地に散らばる加盟店とクレジットカード会社をつなぎ、このしくみを円滑に、安全に機能させているキャッシュレス決済統合プラットフォームが「CAFIS」だ。フィナンシャルテクノロジーが開発・運用を行っているこのプラットフォームは、接続会社数、取引規模ともに日本最大級。24時間、365日、カードの有効性、利用限度額、売上処理、デビットカード取引、コンビニATM出金処理など多岐にわたる決済データの中継、処理を行う、いまや重要な社会インフラとなっている。
「店側とカード利用者が対面しないで行うオンライン決済が増えるにつれ、セキュリティの強化が必要になってきました。加盟店やEC事業者は、カード情報等を持たずに済む非保持サービスやオンラインの本人認証サービスなど新たな機能や技術を導入しなければなりません。プロジェクトでは、加盟店、EC事業者がより簡単に、それらの高度なセキュリティ技術を導入できるよう、パッケージ化されたAPI(ソフトウエアの一部をウェブ上に公開し、他のソフトと共有できるようにしたしくみ)サービスをできるだけ早く開発することになりました」。
取り組み
初めてのアジャイル開発を経験、クラウドをはじめ、
最新の技術トレンドに触れたことも大きな財産。
クレジットカード国際団体EMVcoが、世界の加盟店に対応を求めてきた「EMV 3D-Secure」は、個々の事業者が自ら対応しようとすると、セキュリティ条件が厳しく、業務も非常に複雑なため、導入が非常に困難となる。「CAFIS」を運用するフィナンシャルテクノロジーとしては、加盟店の導入を支援しなければならない。
「開発手法はアジャイル開発の一つであるスクラム開発を採用しました。従来のウォーターフォール開発が、あらかじめ全行程の計画を立てて順に実行していくのに対し、スクラム開発は小さな単位ごとに開発サイクルを回す手法で、作りながら修正、洗練させていける柔軟性があり、開発期間も短縮できます。私にとってアジャイル開発は初めての経験で、非常に刺激的でしたし、ものづくりのおもしろさを改めて感じることができました。逆に、苦労したのはウォーターフォールで別のサービスを開発しているチームとの調整で、どう足並みを揃えるかがとても難しかったです」
結果
国内初の3D-Secure対応ベンダーとしてサービスを開始。
しかし、不正防止への取り組みはこれからも終わらない。
プロジェクトメンバーの尽力により、2020年8月、業界に先がけて「CAFIS 3DS Connector」の本格的な提供を開始することができた。NTTデータは、3D-Secure対応サービスを提供する国内初のベンダーとなった。しかし、不正防止、セキュリティへの取り組みは、これからも終わりなく続くとチームリーダーは語る。
「不正を試みる側はつねに新しい手口を繰り出してきますから、私たちはそれに負けずに守りを固めなければなりません。取引のさまざまなポイントで、つねに不正を食い止めることが求められています。現在は、『CAFIS』における新たな不正検知の企画、開発を手掛けていて、ネットワーク上の不正防止に機械学習を応用することを目指しています。セキュリティは直接的に収益を生む分野ではありませんが、社会や産業の安定のために必要不可欠ですし、社会貢献にもつながります。責任が大きい分、自分の仕事にやりがいを感じます」。